(平成23年5月14日)

「将棋と節電」
 先月、将棋の支部役員会があった。参集した役員は12名。支部の総会議案の検討についてであった。支部長および担当役員から次期役員改選、今年度事業実施報告、会計決算報告・監査報告、次年度事業計画等が議案として提出され、審議の末、総会資料として了承されたのであった。
 会議は余談に入り「会員の減少傾向をどうすれば阻止できるのか、支部としてどのような活動をしていけばよいのか」等についての話が遡上に!「喰えない奴」は当支部の役員になってまだ1年生のひよっこである。沈黙が金であることは承知している。しかし、言いたかったのである。無理に遡上に挙げたことを悔やんではいない。このままでは本当にじり貧に陥ると危惧されるからだ。
 当支部の歴史は古く1968年(昭和43年)に発足し、その後間もなく県下でも有数の100名支部となった経緯があり、発足時にはわざわざ日本将棋連盟の大山名人が祝福に駆け付けてくださったとの話もあるほどである。(支部会員とは日本将棋連盟に既定の会費を納めることで加盟できる。また、県下に連合会を設置している)以来、長い間100名支部を維持し将棋文化の発展に寄与してきたのである。だが、先人の努力も虚しく随分前から老齢化に伴う将棋人口の減少と、若年層のゲーム環境は大きく様変わりして将棋への関心が薄れているように感じられるのある。そういった事情もあって会員数は減少の一途をたどり、昨年度はとうとう100名支部の座を明け渡すこととなってしまったのです。(内情を明かすとお叱り、ご批判を受けるかもしれないが、実は、恐らく10年以上も前から支部会員は100名を切っており、将棋を指せない人や役員の知人(将棋に興味のない人)に無理に会員になってもらい名目上100名支部を続けていたのである。その大きな理由は二つあるように思える。一つは長年支部運営に携わってきた役員の意地と名誉であり、もう一つは日本将棋連盟が主催する「全国支部対抗団体戦・同名人戦及びシニア名人戦」への全国大会フリー切符が受けられるということではないかと推測できる。しかしながら会計上、会員として日本将棋連盟へ登録するには会費が必要であり、支部内でそのやりくりをするのは運営上大変であったとのこと)100名支部に拘らない、この英断を下したのは一昨年度、乞われて推挙された新支部長の判断でした。背伸びした運営よりも適正な方法を選択したことは今後により明るい道を示すと思えるのです。
 話が長くなりましたが、謂わんとしていることは全く違うのである。将棋文化を隆盛にするための方策なのです。支部として何か違う目新しい活動はできないのか?会員となり大会等へ参加した人たちが楽しいと思える、楽しく過ごせる方法はないのか?そんな意見を挙げたのである。その時役員の一人から子供を育てることの重要性が訴えられたのです。(当支部では数年前から役員の有志によって公民館を利用した「こども将棋教室」が開講され将棋文化の育成をしている)将来を担う文化の継続・推進は子供たちにかかっていることは間違いなく、「学校へも積極的にアピールし部活の一助となるべく将棋指導に役員の派遣も検討していってはどうか、各大会予選では代表選出について子供たちに特別枠を設ける方法を考慮しては」等の意見が出されたのである。実際、翌週に行われたアマ竜王戦地区予選では早速子供たちだけの枠が設けられ大人に交じり2名を県大会へ送ることとなったのです。何れ一歩一歩着実な歩みが見られ、希望と期待が成就する日も近いのかもしれません。余談も終盤となりかけた頃、ある役員が言ったのです。「最近の子供は外で遊ばない。テレビばかり見ている。年中テレビを見ているから馬鹿になるんだ」子供が考えることをしなくなったと言いたかったらしい。誰もがごもっともの顔つきをしている。そういえばこの役員の子息は、教育期間中長い間TVを制限され、そのおかげなのか名のある国立大へ進学したと聞いたことがある。同時に「喰えない奴」が中学生の時にある先生から「テレビを見ていると馬鹿になるぞ」と窘められたことを思い出したのだ。それを真摯に受け止め実践していたなら今頃は・・・。そう思うと寂しさを覚えるのである。
 TVにも効能はあると思う。動植物のドキュメンタリー放送や見知らぬ遠方の文化遺産、街を紹介する旅番組等興味をそそられる映像には少なからず製作者の意図が感じられ楽しくなる。だが、番組によっては見ている時間中思考は停止し、創造性はおろか意欲を掻き立てられる放送は数少ない。場合によっては妙な方向へ流れなくもない。一種の洗脳が襲っているともいえるのではないか。最近頓に増えたと思われるクイズ番組若しくはそれに類した放送は滅多にその解答を見聞きしたことがないように思う。理由はクイズ若しくは質問に回答する直前に必ずと言っていいほどCMタイムが入ることが嫌なのである。息を止め絶句するほどのCMであればチャンネルを変えることもなくむしろ見入って感動を覚えるであろうが、そういったCMにはお目にかかれない。あちこちチャンネルを回すうちクイズ番組の回答は終え別の話に移っているのである。従って自分の考えた答えが合っているのか確認しようがない。そのうち詰まらなくなってTVの電源は切られるのである。もう少し辛抱がよければ博学になっていたかもしれないのだが。
 周りの誰に聞いてもTVは詰まらないという。そこで思いついたのである。ご存じのとおりこれからは夏季を迎え電力不足の時期が迫ってきており、誰もが節電意識を持って事に当たらなければ国力の回復はない。特に一般家庭での電力削減には力を入れなければならないと思うのである。
文部科学省にお願いしたい。以下を国民へ公報してほしいのだ。そうすれば節電も我が国の文化力も更には子供たちの思考力も一段と向上するはずだ。それに「喰えない奴」の希望も成就する一石四鳥となるに違いない。

「国民の皆さん!TVを見ると阿呆になる。速やかにTVを消して将棋を指そう」

トップ      ホーム